News ⁄ Blog
代表取締役の選定、予選

こんにちは。石川司法書士事務所の町田です。
今日は、商業登記の基本とも言うべき役員変更から、特に代表取締役の選定と予選(予め選任、選定をするという意味です)について、書きつづってみようと思います。
【選定方法】
まず、代表取締役の選定方法は、ほとんどの会社が次のいずれかによると定款に定められていると思います。
1.取締役会の決議 (取締役会が設置されている場合)
2.取締役の過半数の決定 (取締役会が無く、定款にその旨が定められている場合)
3.株主総会の決議 (取締役会が無く、定款にその旨が定められている場合または定款に代表選定の方法の定めが無い場合)
【予選】
取締役設置会社の場合を例にとると、定時株主総会などで、取締役を定めて、その直後に取締役会を開き、代表取締役を定める、というのが代表選定の通常の流れですが、例えば合併や本店移転などの機会に役員の陣容も変えてしまう、ということもしばしばあります。
その場合、合併や本店移転などは、あらかじめ期日を定めて株主総会や取締役会の決議をするのが通常なので、一連の流れとして役員を変える場合には同日中に役員選任、選定の決議もしてしまいたい、というときがあります。
基本的には、株主総会や取締役会の決議を、期限や条件付きとしてあらかじめしておくことは、特に問題ないので、役員の選任等についても同様なのですが、一定の場合には効力を生じないこともあります。
取締役の予選に関しては、選任決議から就任までの間の期間が空きすぎる(1か月以内なら問題無いはずです。)場合を除けば、よほど特殊な事情が無い限り問題無いと思います。
代表取締役の予選に関しては、すこしややこしい部分があるので、前述の3パターンに分けて説明したいと思います。
1.取締役会の決議
基本的には、問題ないのですが、決議の時から効力発生(期限到来、条件成就)の時までの間に、取締役の面子が変わっている場合には、不可とされる可能性が生じます。
例えば、取締役が ABC→DEF と変わっている場合。これは文句なしに不可となるでしょう。
詳細な理由は割愛しますが、取締役会決議による代表選定には、自分達の中から代表を選ぶという意味合いがあるので、旧経営陣がガラッとメンバーが入れ替わった新経営陣の代表を選定するというは、非常に不自然だということは、何となく理解していただけるのではないかと思います。
次に、取締役が ABC→ABD と変わっている場合。これは少し微妙とも思えますが、登記実務上は不可とされています。
(ABC→ABCD、ABCD→ABCも同様です。)
問題点は2点考えられます。
1点目は、選定者が変わっている(議決権を持った取締役が変わっている)ということです。ただし、この場合、ABが選定決議に賛成していれば、CDは賛成でも反対でも決議要件は満たせるので、決定的な問題とはならないようにも思えるのですが、この点から法務局は否定的な見解をとっているようです。
もう1点は、被選定者が変わっているということです。つまり、選定決議の時点では、Dは取締役ではなかったので、Dを代表にするという選択肢が与えられていない可能性があり、疑義が残るということです。(Cについても逆の立場から同様です。)
最後に、取締役が決議時から効力発生時の両時点で同一である場合。これは他に特殊な事情が無い限り問題ありません。
2.取締役の過半数の決定
この場合は、取締役会の決議の場合と、考え方から結論にいたるまで、同じと考えて差し支えありません。
3.株主総会の決議
この場合は、取締役の予選決議と同様の結論になります。
以上、一通りのパターンを挙げてみましたが、“不可”とされるケースでは、取締役が変わった後に選定をしなくてはならないということになります。
少しややこしい話しでしたが何となく理解いただけたでしょうか?
では、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
町田