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自筆証書遺言の保管制度創設のメリットとデメリット
2018/10/26

こんにちは司法書士の田中です。
今回は施行待ちの自筆証書遺言の保管制度についてお話をします。
大きく分けて遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は遺言者本人が単独で作成できます。
しかし、遺言の方式に適合しない場合は無効になることや、記載内容について解釈上の問題が生じるなど内容が不備となる懸念がありました。
また、遺言を自分で管理しなければならないため遺言書の安全な保管については懸念が残ります。
一方で、公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成するため、必ずしも無効にならないとは言えないものの無効になることや内容が不備になるおそれは軽減されています。
公証役場で遺言書を保管してもらえるので安全に保管できます。
自筆証書遺言では必要になる検認も公正証書遺言では不要となります。
ですが、自分で作る自筆証書遺言よりも費用がかかるといったデメリットもあります。
今回の保管制度では、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになるというものなので、遺言書を安全に保管できるようになります。
また、自筆証書遺言では検認の手続きが必要ですが、当該保管制度を利用すれば公正証書遺言と同様に検認手続きが不要になります。
保管制度の利用手数料は無料ではないものの利用しやすい金額が想定されていますので、公正証書遺言まではお金をかけられない場合には保管制度を利用して遺言を作成しておくという選択も増えてくるでしょう。
なお、平成30年7月6日に法務局における遺言の保管等に関する法律が成立(同年7月13日公布)しましたが、平成32年7月13日までに施行されることになります。施行日前に法務局に対して遺言の保管を請求することはできませんのでご注意ください。
田中健太