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司法書士の仕事(不動産登記)2

こんにちは。町田です。
前回の記事で、不動産登記簿と不動産登記申請について、とても大雑把に説明をさせていただきましたが、申請手続は結構大変ということまで、ご理解いただけた、ということで、今日もその続きです。
そんなに申請手続が面倒くさいものなのであれば、ちょっとやりたくないな、と思うのが人の性だと思います。では、それをさぼるとどうなるのでしょう。
まず、不動産その物に変化があったとき(新築、取壊し、増築など。報告的登記と呼ばれています。)、その手続を怠ると(1か月以上放置すると)10万円以下の過料が科せられてしまいます。
非常に分かりやすいです。これはやっておかなければまずそうですね。
しかし、その他の不動産登記は、任意とされていて、登記申請をしなかったとしても、お上から罰則が課せられることはありません。
けれども、土地の分筆・合筆など(形成的登記などど呼ばれています。)の土地の境界については、登記簿等に記載されないと効力が生じない、ということになっています。
つまり、所有者が登記申請を行わずに土地に印を付けたり、物理的に分断したりしても、法律上は1つの土地として扱われる、ということです。
さらに、日本の法律には、一物一権主義というのがあって、1つの物には同一の権利は1つしか存在し得ないという立て付けになっているので、先程の物理的に区切った土地をだれかにあげたとしても、登記をしない限り、それは本人が勝手にそう言ってるだけ、ということになってしまいます。
何となく哀しみを感じる結果になってしまいますね。
次に、権利(所有権、抵当権など)に関する登記は、どうでしょう。
これも登記手続をさぼっても罰則などはありません。
売買などは「売った」「買った」と言うだけで成立しますし、効力も生じるので、登記手続を経なくてもちゃんと所有権も移転してしまいます。
では、なぜ、みんなまじめに登記をするのでしょうか。
日本の法律には、民法というやたらと守備範囲の広い法律がありまして、その177条にこう書かれています。
「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」
全然意味が分かりませんね。
これはどういう意味かというと、先程の「売った」「買った」も売買契約としてきちんと成立はしているものの、日本における契約は、原則として、その当事者間でしかその効力を主張できない、という決まりになっていて、買主は売主に対しては「物をよこせ」と言えるのですが、その他の人に対してはそれを言う権利が無い、ということなのです。
例えば、、、
A「この土地を売ってあげるよ。」
B「ありがとう。じゃあお金を払うよ。」
A「じゃあ今日からこの土地は君の物だ。さようなら。」
C「いやいや。この土地は俺の物だ。昨日Aからもらったんだ。」
B「え!?でもちゃんとお金も払ったし、売買契約書もあるよ。」
C「いやそんなことは知らん。俺には関係が無いし。」
となったときに、登記がされていないと、Cの主張は正しいということになってしまうのです。
おおごとですね。
さらに、登記手続は早い者勝ちということになっているので、先にCが登記手続をしていたら、Bの敗北は確定です。
なので、不動産を購入するときは、お金を払う前に、登記簿上の所有者が売主の名義になっていることを確認して、お金を払ったら急いで所有権移転登記をしないと、そのようなトラブルを回避できない、ということなのです。
なんだかとても怖いですね。
司法書士の仕事というタイトルにも関わらず、司法書士が一度も登場しませんでしたが、まだまだ続きます。
町田